「まんがタイムきらら」7月号

この感想は1ヶ月遅れなのでご注意を。むー。

「あっちこっち」(異識)

僕は長い間「『あっちこっち』の登場人物は優秀だ」と言い続けてきたが、今回は本当に凄まじい。みんな完璧超人だ。
この缶蹴り、ふおんあたりを混ぜてもまったく違和感がない。すげえ……マジでやべえぜ。

ふおんコネクト」(ざら)

この世界にも、「京都大学」というものが存在するのですね。どんな現実の大学よりもきっとこの高校の方が7兆倍ぐらい樂しいと思うのだけれど、という引き戻され方をしてしまうなあ。
あ、でも、京都大学に進学するも友達とか出来なくて堕落して駄目駄目な人間になって留年しまくって修士6年目とかになって、な元巻さん想像すると萌えますね!(超偏見)
実質交流のヒモとか!

三者三葉」(荒井チェリー

僕たちの住むこの世界を鋭い観察で写し取っていると思う。
確かに、普通に生きていれば、返事を期待されるよね。メールが機械翻訳ぽかったりするよね。メガネが余計なこと言うよね。好みのタイプは年の大半が船に乗っている人だよね。土下座でお礼ですよね。要約させられるよね。
人間観察がすばらしいなあ。

きつねさんに化かされたい!」(桑原ひひひ

理屈が暴走してみんなで「あああどうしよう……」って頭を抱える感じが桑原ひひひの真骨頂だった、と久しぶりに思い出させられた。
混乱している状況で外部の人間が来ると、混乱している人は凄いことを言うので、それを聞いた相手がまた別の所で混乱して……という描写も、混乱の本質を捉えていてよいと思う。

「ダブルナイト」(玉岡かがり

また新キャラ(プリンス)の出し方が下手だなあと思う。
登場で失敗したキャラをその後馴染ませることにかけては一級品なので心配はしていないが、キャラが登場に失敗するのを見るたびに、そのキャラのことがかわいそうに思えてくる。

けいおん!」(かきふらい

これを読めば「端的に言って、ゆとることは正しい」ということが分かる。まだゆとりの正しさを知らない人はぜひ読むべき。
それはともかく、よく見ると絵柄的に問題を抱えているような気もする。澪だって、絵柄の問題点を改善すればもっと可愛さが安定すると思うのだが。

ゆゆ式」(三上小又

今まで触れてこなかった、というより半ば意識的に無視してきたけれど、ゆとり的に言って期待の作品ではあります。ただ、「起承転結がない」を文字通りに捉えている作者なので、心配な面があります(今回も何箇所か危ない箇所がありました)。
そういった意味で、先生が素敵な人だ、というのはゆとり的秩序の安定のために重要なので(理由は多分、「ゆとり的世界観は社会に出ても持ち続けることが出来るのだ」と読者に思わせる作用があるため)、今後は眼が離せないかも。

「Sweet Home」(やまぶき綾)

作者の描く人間関係には、いつもトゥルーさがあっていいです。
比べてみると、やまぶき綾は公野櫻子が抱える問題のうち幾らかを回避することに成功はしていますが、逆にある種の破壊力を捨てているようにも見えます。個人的には好ましいことだと思うけど、問題になってくる場面もあるかも。

「てとてとてとて」(七松建司

密度とか距離感とかキャラデザインとかの萌え最適化(念のため、ここでは萌えを特殊な意味合いで遣っています)されていない具合はやっぱりきららにおいては致命傷だったよね、とは確認しつつ、エンディングっぽさをきちんと演出できている良い最終回だとは思う。
ちなみに、ここで終わらなかったとしたらどういう風にしていくつもりだったんだろう。