「まんがタイムきららMAX」9月号

遅れを取り戻したいところだ。

イチロー!」(未影)

まいちゃんの妄想中の水着のデザインが、水着よりも裸エプロンに近く見える。

「そして僕らは家族になる」(荒木風羽

画面構成が相変わらずすごい。カメラの位置もだけど、手書き文字の限界、会話の平行進行の限界に挑んでいる感がある。
内容について……「大西麗っぽい小笠原祥子」を想像すると面白い、かもしれない。2次創作的な意味で。

かなめも」(石見翔子

恋愛=2人だけの世界、というテーゼがあるけれど、かなとみかの場合、それが文字通りの意味で実現されている(「夜明けの誰も居ない町で、新聞配達の道すがら出会う」)。
この発想はセカイ系だ、とかいうのは勇み足だろうなあ。

魔法少女☆皇れおん(仮)」(桜みさき)

感性を阻害しない女装少年を生み出そうとする試みがここ数年流行りですよね。女装少年をちんこでしか特徴付けることの出来なかった時代は、終わりを告げようとしているようです。すげー。
皇れおん君のデザインの精密さを検討して、この手の「女装少年」のどこが「少年」なのかを考えなくてはならない気がします。恐らく、萌え4コマの世界において、ちんこは前シッポ以外の形で実在することが許されません(萌え4コマの世界において、全ての男性キャラにちんこがちゃんと付いていると信じて疑わないのは、無邪気な楽観に過ぎるでしょう)。それでも「女装少年」という概念が成立するのは、何故なのでしょう?
あと、ささめのデザインも何気に正しい。大まかな方向性はともかく、細かいところでのテクニックに抜かりがなくて、おー、という感じです。

「ぼくの生徒はヴァンパイア」(玉岡かがり

森の迷子の回はプラムとメイベルがセックスしたという隠喩みたいな感じで、今回のはダメ押し、と読むべきなのかしら。ここまで軽くそういう隠喩を飛ばすことを可能とした萌え4コマ玉岡かがりism、凄いなあ。
とりあえずメイベルさん可愛くていいですね。

「R18!」(ぷらぱ

里佳子は頭がおかしいなあ。
「頭がおかしい」についても、もうちょっと精緻に検討する必要がありそう。猛烈に頭が良い訳ではないのに、「会話が成立しない」系の頭のおかしいキャラを出すことに成功したことは、萌え4コマの成熟を意味しているかもしれない。といいつつ、まあエロゲとかの文脈からきたキャラなのかもしれないんですけれどね。

「まん研」(うおなてれぴん

色彩ネタみたいなの好きです。
普通の感覚の人をだんだんオタク的感覚に馴らしていく、とか、だんだんエロへの抵抗を薄くしていく、とかいうのは未だに全然分からないです。「この人なら絶対好きになるはず!」というのならともかく、そうでもないのに何故オタクに染め上げなければいけないのだろう?
そんなんよりテロ的手法のほうが7兆倍リアルで、恐ろしいのでは。テロ的手法というのは例えば「中学生がエロゲを焼きまくって後先考えず何十人ものクラスメイトに配布しまくる」とかそんな感じ。世間のルールを内面化した人間が、自らの神を信じて疑わない人間に、勝てるでしょうか? 全身全霊もこめずに人をオタクに「染める」とか傲慢な気がします。
まあ僕にコミュニケーション能力(笑)がないからなー。